目次
1.お子さんのやる気スイッチは入っていますか?
書道教室や小学校でたくさんの子ども達に出会ってきました。
そして、これまで2人の子どもの子育てに全力投球してきました。
このような中で、子どもの学びに関わる私がいつも意識してきたのは、
「子どもの学びを突き動かすエネルギーはやる気!」
ということでした。
でも、中にはいつも受け身で、誰かに言われて行動しているお子さんもいました。性格が優しい子やおとなしい子は元々の気質が受け身なのかもしれませんが、もしかしたら、周りの大人の影響が少なからずあるかもしれません。
皆さんのお子さんはいかがでしょうか?
2.やる気を引き出すには
そもそも、『やる気』というものは何でしょうか。
意欲、自ら動く、主体性のある子ども…
などと、教育界でも重視されているキーワードです。それだけ、子ども達の意欲や主体性を育てなければ…という思いは現場でも強いと感じます。
やる気を出した時の子どものパワーは無限大ですし、やる気を感じて挑戦することを楽しく感じています。目が輝き、生き生きした表情になります。
それでは逆に、全てお膳立てされ、自分で考えなくてよい環境の中で、与えられたものだけで生きているとどうなるでしょうか?
子どもは失敗はしませんし、回り道をしなくても済みます。効率的に生きることができます。
そして、成功体験は味わうことができます。つらい思いもしませんし、自信もつくかもしれません。
でも、あえて新しい経験を積もうとしたり、自分から挑戦してみようと思ったりという、やる気がない子になってしまいます。
「めんどくさい…」
小学生でも、何か新しいことを投げかけると、こんなつぶやきが聞こえることがあります。
そこで、授業や教室ではやる気を引き出すこと、やる気スイッチを探すことに、まずは全力を尽くします。
やる気スイッチを押すことさえできれば、子どもは言われなくても動き始めます。止められないくらいのエネルギーを発揮します。
このエネルギーを引き出してあげないなんてもったいないと、常々思っています。
3.経験させてあげることの大切さ
それでは、どうしたら子どものやる気を引き出せるようになるのでしょうか?
ご家庭では、興味を持ったことには、どんどん自分でさせてみること、経験させてあげることが大切です。
正直大変です…母親としては。
例えば、台所に立っているお母さんの横に、興味津々な目で見ている子どもがいるとします。
「危ないからあっちに行っててね。」
と、つい言ってしまいがちなのですが、もしお子さんがお料理に興味があるとしたら、ここで何かをさせてあげてください。
私はこんな声掛けをしていました。
「お鍋が熱いから気を付けてね。一緒にニンジンの皮むきやってみる?」
「お母さん、今日カレーを作るから、アク取りをお願いしてもいいかな?」
この時に、
「アクってね…」と、野菜やお肉を煮るとアクが出ることや、カレーの材料についてとか、「ニンジンってなぜ赤いのかな…」などと、さらに興味をわかせるような話をしながら一緒にお料理すると、子どもは目をキラキラさせるでしょう。
このように、子どもが興味を持ったときに、大人がその思いを瞬時に組みとってあげることを、
「啐啄同時」(そったくどうじ)
といいます。私が研修を受けた際に、教員としての心構えとして教えていただいた言葉です。
鳥の雛が卵から産まれようとするときに、殻をつついて音を出します。これを「啐」と言います。そして、その時に外にいる親鳥が同時に殻をつついて破ることを「啄」と言います。この雛鳥と親鳥の殻をつつくタイミングが同時であることが大切だという教えです。
このことから、親と子、師匠と弟子、先生と生徒の関係を表す言葉として用いられます。「導くものと、導かれるもの」の間にある、絶好のタイミングを逃さないというこの言葉は、当時「教える」=「与える」「指導する」だけだと思っていた私に、大切なヒントを与えてくれました。
4.おうちでは子どもが必要とするサポートを!
子どもが手を伸ばそうとして何かをつかもうとしたときに、手が届かなかなくて困っていたら、抱き上げてあげる。
このようなサポートが子どもの意欲を伸ばします。
子どもが手を伸ばす前に「届かないから」…と、先回りして椅子を用意したり、何も言わずに抱きかかえたりすることが続くと、どうなるか想像してください。
我が家でも、振り返ると反省点はたくさんあります。特に忙しくて、自分に余裕がないと、子どものやる気に付き合うことはできないなと感じてきましたが、基本的には、子どもの考えややる気を尊重してきました。
その結果、学校でも様々な活動に意欲的に取り組んでいましたし、習い事や部活でも自分から考えて行動したり、工夫したりと、たくましさを感じました。先生方にも意欲を褒められることが多くありました。
また、旅行も子どもに計画してもらったり、決められた金額で自分の好きなお菓子や夕飯の食材を買ってきてもらったり、ということもしました。
行き先は家族で決め、何をするのか、何時に出発するのかを考えてもらい、楽しそうに取り組んでいました。また、買い物を金額の中で、子どもなりの考えで買ってくれたことがわかり、成長を感じたこともありました。
もちろん、教えるべきことはきちんと教えなければならないと思います。
しつけ的なことであったり、公共のマナーであったり、人として大切なことは自分からというよりも、生活の中でしっかり教えていく必要があります。
5.「わかる」「できる」がやる気を引き出します
学校や教室の中で学ぶときに、意欲がない、意欲が感じられない…
このような時にはどうすればよいでしょうか?
おうちで自分から挑戦できる経験が積み重なっていると、集団生活の中でも自然と意欲を出せる子になっていきます。
しかし、学校や教室でもやる気を引き出すことは十分できます。
例えば、
●「わかる」「できる」体験を重ねる
今までできなかったこと、わからなかったことが、「できた!」「わかった!」となったときに、やる気もアップします。
指導者の力が試されますが、できるようにさせる指導スキルが大切です。
●「楽しくてためになる」学びを
楽しいだけで、子どもはワクワクします。でも、本質的な学び、ためになる学びでないと、ただ楽しいだけで終わってしまいます。本当に力をつけてあげられないと自信にはつながりません。
当たり前のことばかりですが、これらの点を意識しながら指導しています。
先日、子ども達に今年度最後のレッスンでアンケートをお願いしました。
「字が上手になったと思う」
「家族や友達から字を書いてと頼まれるようになってうれしい」
「字を書くことが好きになった」
などの声を子ども達からもらいました。みんな何も言われなくても書くことに対して意欲的です。
中には、最初は字を書くことが苦手で、じっと座っていることが好きではない子もいます。しかし、継続して通い「わかる」「書ける」を感じる時が来ると、その子の顔つきがはっきりと変わります。やる気スイッチが入る瞬間です。
そうすると、あれだけ落ち着かなったお子さんも、私のお手本をもらってすぐに書き始めたり、じっといい姿勢で書き続けたりする…そんな姿に変わってきます。
意欲って、やる気って本当に子ども達を変える魔法なんだな、と私が実感するのはこんな時なのです。
我が子と同じような気持ちで、教室の子ども達を指導して10年目を迎えます。
その経験と学びを講座にまとめた「おやこで美文字!通信講座」
文字を学ぶことに興味があるお子さんをお待ちしています!
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