おやこ美文字通信 

漢字の苦手なお子さんも指で書いて覚えることのできる『空書き』(そらがき)とは

最近はスマートフォンやパソコンで漢字を手で書く機会が減り、

簡単な漢字でも思い出せないことがあると思います。

このような時に、自然と指を動かして文字を思い出そうとしていることがありませんか?

今日は、そのような「文字を指で書くこと」について考えてみたいと思います。

1. 「空書き」とは?

文字を指で書くことは、「空書」(くうしょ)「空書き」(そらがき)と呼ばれています。

小学校で行われる文字の学習では、多くの先生方が「空書き」を指導の中に取り入れています。

書き順を確認するため、はらい、とめ、はねなどの字形を確認するために行われますが、全員で一斉に書いたり、友達同士で書いて見せ合ったりしながら、楽しく効果的に学ぶことのできる指導方法の一つです。

最初から鉛筆を持って書くことは、子どもにとって、実は難易度が高いです。

なので、まずは書き順、字形のみにポイントを絞って覚えるために、指で文字を書く「空書き」が取り入れられているのです。

2. 空書きで文字を覚えるポイント

また、空書きについては、様々な研究も行われています。

実は、文字を思い出すときに、自然と指が動く行動=「空書」(くうしょ)は、漢字文化圏(東アジア)のみで見られ、欧米では見られない特有の現象だそうです。

欧米では、書いて覚えるということは主流ではないのです。

これには漢字文化圏において、たくさんの文字を書いて覚えるという教育方法を行ってきたことが影響しているともいわれています。

また、文字を手で書く動作と同じように、指で文字を書く動作によっても、文字を効率的に記憶できるということも分かっています。

ただ、空書では指で書いた文字を見返すことができない、見て確認することはできません。

ある研究では、指で文字を書くだけのグループと、指で文字を書いた後に、文字を目で見て確認するグループとに分かれて、それぞれ漢字の定着度を調べました。

すると、指で文字を書いた後に、目で見て確認するグループの方が、より定着度が高くなるという結果が出たのです。

  参考:漢字学習における書字行為に関する研究  稲垣紀夫・藤田 正 

そこで、空書きで文字を覚える際のポイントは、空書した後に、

「目で見て文字のお手本を確認できるようにする」

ということです。

3. 漢字の苦手なお子さんへ~空書きで漢字を楽しく覚えよう~

このように、気軽に取り組むことのできる「空書き」。

おうちでも積極的に取り入れて、楽しく効率的に漢字を覚えていきましょう!

特に、漢字に苦手意識のあるお子さんは、書き取りノートに書いて覚える練習に、たいへん抵抗があると思います。

そこで、このような子にこそ、毎日少しの時間で、すぐに取り組むことのできる空書き(指書き)が効果を発揮します。

毎日少しずつ繰り返し触れたことは、長期記憶に残りやすくなります。

苦手なお子さんこそ、少しずつ、繰り返しで取り組むことが大切になってくるでしょう。

例えば、「毎日、1日2文字指書きしてみよう」という目標を決めて…

  1.  トイレの壁やダイニングテーブルやリビングなどのすぐ目につく場所に覚えたい学年別漢字表などを掲示します。
  2.  トイレに入ったら1個指書きする、おやつを食べたら1個、テレビのコマーシャルの間に1個… というように指書きします。その都度、書いた漢字を見て確かめることを忘れないようにしましょう。
  3.  毎日親子で一緒に取り組むと、お子さまも意欲的になります。覚えたかどうか、お互いに問題を出し合ったり、手の平や背中に書いた漢字を当てっこしたりして、ゲーム感覚で楽しんでください!

 隙間時間を使って、1日2文字空書き(指書き)で復習する場合、

いちばん多い202文字を習う小学校4年生であっても、

半年くらいあれば、全ての漢字を一通り復習することができます。

漢字の苦手なお子さまは、ぜひ気軽に挑戦してみてはいかがでしょうか?

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