目次
1.お子さんの入学準備と記名
先日、卒業式を迎えた幼稚園、保育園、小中学校のお子さんもいらっしゃるでしょう。卒業に続き、4月には多くの方が入学をひかえていることと思いますが、これまでの成長と新たな門出に、心からお祝い申し上げます。
今年は突然の休校があったり、卒業式の規模を縮小する地域もあったりして落ち着かない状況ではありましたが、お子さんの成長を感じる一つの区切りとして、卒業・入学というのはやはり感慨深いものがありますね。
私も、幼稚園から大学と二人の子ども達の卒業入学、教員時代の卒業式・入学式と、これまでたくさんの節目の行事を経験してきまして、思い出もたくさんあります。
その中でも母として、子どもが幼稚園、小学校の入学入園準備で大変だったことの一つに、持ち物の「記名」がありました。
小学校入学をひかえたお子さんは、まだ自分で持ち物に名前を書くことはできません。そこで、「記名」はお母さまはじめご家族のやるべきことになってしまいますが、これがなかなか大変な作業でした。
2.なぜ記名をする必要があるの?小学校の実情からお伝えしたいこと
小学校の入学説明会でも、資料の中に「記名」の仕方が具体的に紹介されていると思います。
「こんなに名前をつけなければいけないの?」
と驚かれる方もいらっしゃると思います。
算数セットを購入する地域では、細かなブロック一つひとつ、おはじき一つひとつまで全て名前をつけるように指示されますし、鉛筆、消しゴム、マスク、ハンカチ、ティッシュ…など、小さなものや消耗品にいたるまで、たくさんの物に記名する必要があります。
それでは、なぜこんなに細かいものにまで記名をしなければならないのでしょうか?
「記名」が必要な理由は、私の経験から3つあげると、
- 自分の物を大切に扱うため
- 集団生活で全員が同じ物を使うから
- 落とし物、なくし物は必ずあるから
というところになるでしょうか。
だれでもうっかり持ち物を落としてしまうことはあると思います。その時に記名がされていないと、クラス全員、学校全員にまで聞かなくてはならないのです。
私の務めていた小学校で落とし物がどのように扱われていたか、よくある例をお話させていただきます。 (お住まいの地域や学校によって違いがあるかもしれません。)
例えば、運動場に上着が落ちていたとします。
親切な子が見つけて上着の名前を見ますが、どこにも名前が書いてありません。そこで職員室に届けてくれます。そして、落とし物担当の先生(地域によって違いますが)や教頭先生がしばらく預かり、落とし主が現れるのを待ちます。
しかし、ここでも落とした子が現れない場合は、上着を1年生から6年生まで各クラスに回して担任の先生から聞いてもらうことになります。クラス全員に聞いてみて、誰も知らない場合は次のクラスに回します。
ここまでしても、落とし主が見つからない場合もあります。そこで、さらに職員室で保管したまま、年度末の参観日で保護者にも見て確認してもらうようにすることもあります。
学校によっては、実際にこのようなことが行われているのです。たかが落とし物、されど落とし物…ですよね。
たった一つの「上着を落とした」ということが、全校の子ども達、先生方にこのような時間や手間を取らせてしまう…ということも現実にあるのです。
3.子どもが落とし物をする前提で記名を!
上着の場合は大きな落とし物ですから、このように時間をかけて落とし主を探すことが多いのですが、小さな落とし物、落とし主が見つからない落とし物は毎日山のようにあります。
一つ感じることは、持ち物に記名がされている子は、持ち物に対する意識が高いのかほとんど物を落とすことがない傾向があるということです。そして、たとえ落としたとしても誰かが拾って届けてくれるので、なくしてもそのまま…ということはありません。親としても、できれば持ち物をしっかり管理できる子になってほしいですね。
とはいうものの、実は私の子どもも”うっかり”が多く、タオルや傘をよく忘れてくることがあります。
中学生だった頃にも、このようなことがありました。
部活の大会に参加した時に、最後の閉会式で、司会の先生が急に息子の名前を呼び、「〇〇君、閉会式が終わったらこちらに来るように」という連絡がありました。会場にいた私もびっくりしたことを覚えています。
実は、息子は試合をした際に、コートに水筒を置いたまま忘れてしまっていたのです。
水筒に名前を書いてあったから良かったのですが、大会運営の先生からも「名前が書いてあってよかったな!」とお褒め(!?)の言葉をいただいた…ということがありました。
中学生でも子どもによってはこうですから、集団で活動する際の持ち物については、なるべく”落とす前提”で記名しておくことをオススメします。
4.持ち物に名前を書くオススメの方法
それでは、ここからはきれいに記名するコツをご紹介していきます。
記名がいくら大切だと分かってはいても、大変な作業であることは間違いありません。そこで効率的に記名できる方法をまずはあげていきましょう。
- お名前シール・お名前アイロンプリント
- ひらがなスタンプ
- ラベルライター・テプラ
- 手書き
①グッズを使った記名について
1~3については、今はお名前シールやスタンプ、お名前の印字されたアイロンプリント、スマホで入力できるラベルライター…など、便利なグッズがたくさんありますので、まずは、それらのグッズを使って記名できるところは、積極的に使っていくことがよいと思います。
記名する物の形や素材によって、シールが良かったり、スタンプが便利だったりというように、合う合わないがあります。
また、お名前シール系は意外に余ってしまったり、ひらがなで作っても学年が上がると漢字が必要になって困ったり、ラベルライターやテプラも本体だけでなくテープ代がかかったりすることなど、考慮して購入する必要があります。
そこで、お子さんが使う物にあわせて、1~3の中から必要なグッズを選んで使ってみてはいかがでしょうか。
②手書きの記名について
ただ、どうしても手書きで書かなければならない物、手書きの方が楽な物もあります。
●名前を大きく書く必要のある物
お道具箱
●すぐに使い終えてしまう消耗品
ポケットティッシュ、鉛筆、消しゴム、歯ブラシ、のり
●布やプラスティックなどシールの貼りにくい物、わざわざアイロンプリントをつける必要のないもの
ぞうきん、マスク、靴下
●図工などの材料(これは全てに名前を書くのは難しいですが、材料をひとまとめにした袋などに記名しておくとよいですね。)
実は、これらの物は学校でも落とし物として大変多い物ばかりです。
ティッシュや消しゴムなど、新しく購入した消耗品を持って行く際に、記名を忘れてしまい、落とし物になってしまうのでしょう。
③手書きできれいに名前を書くためにできること
いちばん手軽で、素材を選ばずに記名することができるのが「手書き」です。
ただ、「手書きの字を見られるのが恥ずかしい」と感じて、できれば避けたいと思う方は多いでしょう。
そこで、手書きで美しく見えるコツをご紹介しましょう。
●お道具箱などの大きな文字の記名
大きな字はバランスを取ることが大切です。文字のきれいさよりも、
「字の大きさがそろっていること」
「字の高さがそろっていること」
「字の間隔を同じように空けること」
が重要になってきます。お道具箱はひらがなで書くことが多いと思います。
鉛筆で薄く上下左右に線を引き、お名前の文字数で分けてから、ひらがなの文字を下書きすると、バランスよく書くことができます。あとは丁寧に文字を書いていけば見栄え良く仕上がります。
特に、お道具箱のような横書きですと、いきなり文字を書いて大きさをそろえることは難しく、どうしてもきれいに見えません。文字を整えるためのひと手間をかけるだけでも見た目が違うので、ぜひ挑戦してみてください。
●ぞうきんなどの書きにくい布地
タオル地のぞうきんですと、ゴワゴワしていて油性ペンを使っても、非常に書きづらいと思います。最近は市販で記名できるように名札のついているものもあるので、それを選ぶのも一つかもしれません。
しかし、普通のぞうきんに名札を縫い付けるのは大変ですので、できれば手書きで書きたいですよね。
そこで、一つの方法としてオススメなのは、「カタカナ」での記名です。
カタカナは元々漢字の一部分からできたものなので、漢字と同じように直線的かつ漢字よりも簡単な形となっています。ひらがなは曲線的なので、ゴワゴワした布地に書く場合、ペン先がうまく動かずに書きにくいと思います。
でも、カタカナでしたら、布地に何回かペンを動かして線を書いていくことで、簡単にはっきりとした濃い線で記名することができます。
カタカナでしたら1年生でも読むことができますし、名前さえ書いてあれば落とし物になった場合でも誰のものかすぐに分かります。
お子さんがどうしても漢字やひらがなでなければ嫌だ、という場合が仕方ありませんが、このような方法もあるのでよろしければお試しください。
●消耗品に書く
すぐに使い終わってしまう消耗品こそ、手書きが便利です。
でも、もし手書きに抵抗があるようでしたら、まずは下のお名前だけでもよいので書いておきましょう。ひらがな2文字~5文字くらいでしたら、そのお名前のひらがなだけをきれいに書くことができるように練習するというのもよいかと思います。
消耗品を落としてしまうのは大体教室内が多いので、最低限クラスで誰の物か分かるようにはしておきたいですね。
ひらがなは46文字ですし、文章の6~7割を占める文字なので、一度きれいなひらがなの書き方を覚えておくと一生使うことができます。
このような機会に、お名前に使うひらがなだけでもお子さんと一緒に練習することをオススメします。
5.まとめ
記名について、いかがでしたか?
今回のブログでは主に、記名の大切さについて述べてきました。
それだけ世の中に物があふれ、子ども達は物を落としてもなくしても気がつかない時代になってしまったということなのです。
一つ一つの物を大切にする、自分の物だという気持ちをお子さんに持ってもらうためにも、手間がかかり大変な作業になりますが「記名」を大切にしていただけたらと思います。
親が物を大切にすれば、お子さんも自然とその後ろ姿から学び、お子さんも物を大切に扱う子に育ちます。私も、大人は子どもにとってのいちばん大きな環境の一つだと言うことをいつも感じてきました。それだけ子どもにとって、親は特別な存在なのですね。
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